感じる箱展 grafの考えるグラフィックデザインの実験と検証
昨日はサントリーミュージアムの後に、南船場にあるdddギャラリーにて行われている「感じる箱展 -grafの考えるグラフィックデザインの実験と検証-」を見に行きました。
趣旨としてはグラフィックは平面だけの物ではなく、grafはその2Dの視点と3Dの視点を境目を行ったり来たりするような、あくまで情報を伝える手段としてのデザインを「箱」をモチーフに実験されていました。
展示の中に、絵本の箱というものがありました。つまりは箱とフタの内側にグラフィックが描かれているのですが、その二つの離れている絵の間につながるストーリーが描かれていて平面には無い感動かありました。また、箱やフタは凹みの五面体なのですが、見えるように持って箱と箱を並べるとうまく立体的につながるように出来ていて、その五面をうまく使っている工夫が見られました。このアイデアはかなり面白いなぁと思いました。
また、365日の日記の箱というものがありましたが、その箱の中にその日見つけた「何か」を一緒に同封する事でよりその空気感をそこにストックするような新しい日記の残し方の提案でした。これも非常に楽しいものだと思います。
「日記のページに少しの空間があれば…」と言うような発想だったのでしょうか?貝殻などの「ちょっとしたもの」を一緒に保管する物でした。そういえば日記や本に「押し花」をする人って最近めっきり減った気がしますが、そういう懐かしくて今思えばいいと思えるものを提案されている気がします。これも面白いアイデアだと思いました。
一番気に入ったのは側面に穴が開いている箱で、中はジオラマです。例えば小さな人形が小高い丘に立っていて向こうを見ている箱があるのですが、その向こうに穴が開いていて壁の景色を眺めるとただの平面の写真に不思議なパノラマ感が出て新たな価値が創出されている気がしました。
また、箱にただ穴を開け、三色のセロファンを貼っているだけなのですがこれを覗くと「ディスコ」の照明が中で表現されていて不思議でした。また、箱の中に一組のカップルが立っていて壁面に間接照明の原理で外の光でぼんやりとハートマークが描かれているのがなんとも優しい空気感を出していて良かったです。
grafの過去のプロジェクトで面白かったのは、実在する自分達のイスをそのままでスケールアップし大きくなったテーブルとイスに座って難しい話をするというプロジェクトがありましたが、どこから見ても大人には見えないスケール感があって、空間もプロデュースするgrafのスケール操作のうまさを今回も感じる事ができました。
心の中にあるちょっとした感覚。そういった物を提案し続けるgrafの提案は情報を伝えるという事の新しい刺激になりました。シンプルで簡単な事なのに新鮮な感動を与えられるように僕もなりたいと思いました。
by kairi-eguchi
| 2010-03-05 01:01