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知るきっかけ

なんとなく「らしさ」について考えてみる。そうすると自分には「自分らしさ」なんてわかりっこないという事がわかった。実のところ「らしさ=客観性」の様です。では「らしさ」を生み出すプロセスはなんだろうと考えます。

最も「らしさ」を形成するのは第一印象と呼ばれる、人が人と関わって最初に感じるファーストインプレッションだと思います。過去の経験や出会ってきた人の中からぼんやりと「らしさ」を形成しています。天群の集まりのように遠目から見ると形成されている物の実体のないもやっとした物でその人をとらえています。つまるところ簡単にはわからない。ただファーストインプレッションはとても大切だなぁと思うわけです。

そしてその人と付き合ううちにそれがそのまま固まっていくか、もしくは見たことのない側面を発見しより深くその人を知る事になるんだと思います。ギャップが魅力なんて話もありましたが、それは思いがけない親近感に他ならない。

ファーストインプレッションとギャップのセカンドインパクトでその人がどういう人かを判断しているように感じます。ではその人を知るきっかけはどうだったのか。そこはもっとも重要なのかも知れない。近頃そう考えます。

誰かを「知るきっかけ」はその後に起こる様々なドラマにとって、とても重要だと考えます。理想を言えば国語の先生は「話していると文章を書きたくなる先生」でなくてはならず、数学の先生は「数の面白さをもっと知りたくなる先生」で無ければなりません。それは決して[期待]ではなく、むしろ[期待していなかったけど実際は面白かった]という感覚に近いと思います。

期待は期待ゆえに自由を奪われがちで始めから期待されていない存在であればその魅力は最も純粋な状態で相手に浸透するわけです。先入観という物は過去からの期待そのもので、未来も同じ物を想像しているに過ぎないわけですが実際人は日々成長し、思想や思考は日々少しづつ変化していくわけです。

デザインをする人はデザイナーにしかわからない言葉をオンラインに流すよりも、デザイナーではない人に向けた「開かれたことば」を流す方がその人に親近感が沸くのではないかと思います。横文字や専門用語を使うとそれっぽく聞こえますが実際のところそれは現象的であり、本質からは程遠いんじゃないかと思います。用語とは本来効率化の為の物で普及には向かない。

プロダクトデザインを広める雑誌が今はありません。テレビもないし、ネットには難しい言葉で若いプロダクトデザイナーや学生に向けた事しか書かれていません。そこに普及の可能性はあるのでしょうか?デザインそのものは一般の方の関心を引くものの、まだまだそこに欧州とのレベルを感じずにはいられない。お茶の間にプロダクトデザインを広める事がこれからは必要じゃないかと思ったり。

そして最近思う事はブログは意外と読まれていると言う事です。私のブログは友人には言葉が難解だと言われます。まだまだ「閉ざされたことば」なのかも知れません。毎日数十アクセスもの方に読んでいただいてますが、実際にはどんな人が読んでくださっているのか私自身わからず書いています。今ではそこがいいのだと思っています。

あえて同世代や私よりも若いデザイナーや学生の方が見ていると想定して次の事を書きますが、時々ブログに非常に攻撃的な事を書いている方がおられます。でも先ほどの「誰が見ているかわからない理論」からすれば誰も幸せにならないし、まずその人の本来のファーストインプレッションを破壊しかねない。デザイナーは「デザインを一緒に考えてほしい」と思ってもらえる人にならなければそもそもデザインの状況すら生まれない。

先日のプロフェッショナル仕事の流儀という番組で、うなぎを焼いて70年の職人の方のお話がありましたが最後に付け足すように「プロフェッショナルは愛される人でなければならない」と言っていたことが印象的でした。プロダクトデザインの現場はまだ喧々諤々している事もあるかも知れませんが、私は将来それが皆がニコニコしながら物事が決定できる素晴らしい業界にならないかと思っています。

そのために少しづつでも自分の腕を磨き、デザインを披露するだけでも相手の口元がにんまりと微笑んでくれる事を願っています。

…なんてことを考えていた盆が終わろうとしています。
# by kairi-eguchi | 2013-08-17 15:27 | デザイン

デザイナーが通った所は何かが美しくなる。

責任とはその人の職能や理念・哲学によって果たされるようなものだと思います。

家電製品の場合、使用される時もですがそれ以上に使用されない時、もしくはただ静止された状態で設置されている時の外観デザインはほぼ100%デザイナーに責任があると考えます。その美観性という「責任」を果たす為に技術の方にプレゼンしたりお願いしたりして協力を仰ぎます。そして誠実に伝えればだいたいの設計者は協力的に動いてくれます。

デザイナーは生き方だと思います。もう少し深く言えば「デザイナーが通ったところは何かが美しくなっている」という生き様だと思います。その何かはなんだっていいのかも知れません。

そんな事を考えていると、例えば住んでいるマンションのエントランスに落ちているゴミを清掃したり、ポスティングされたチラシを備え付けのゴミ箱に捨てる時に、適当に捨てられてはみ出てしまっているチラシを拾ってはきちんと捨てなおします。何年も前からこのような事をしているともうそれがとても自然にできるようになります。

と、このように書いてしまう事自体がそもそも稚拙かも知れませんが、とてもマイナーなデザイナーのブログですし、おそらくこのブログを読んでいる人は私よりも若いデザイナーやデザインを志す学生だと思っていますのであえて書こうと思いました。

こんな事があるかはわかりませんが、「○○号室の人が通った後は、ポスト前が美しくなっている。そしてあの人はデザイナーをやっているらしい」となると、デザイナーの社会的地位が民主レベルで底上げされていくんじゃないかと思ったりしますし、そういう行動を普段から心がけている人には一本の線の重みが変わってくるんじゃないかと思ったりします。事実引っ越してから三カ月ほどになりますが、ポスト前を散らかす人が減ってきました。これはデザインに近い行動だと思います。

「デザインという仕事についているからこそ、みんなが通るエントランスやピロティ、ポスト前を美しくする義務がある。」そんな公共心が若いデザイナーみんなに備われば、五年後十年後にデザイナーは本当の意味で世の中から尊敬される存在になれると思っています。何も高尚な事ではないと思いますし、これはとても簡単な事で、誰だって今日からでも今からでも始められる事です。

社会や環境に対して紳士的になる事からデザイナーは始まると思います。絵を描く事を競ったり、所有物のステータスを高めたり、知名度を競ったり、ソーシャルメディア上で賞を自慢する事よりも、自分が住んでいる近所から尊敬される事こそデザイナーには重要だと思う。


そしてそういった「姿勢」は、「基礎」よりもはじめに行う事だと思う。
# by kairi-eguchi | 2013-07-21 13:16 | デザイン

選択肢の説得性

選択肢の話をしますがたくさんある物の中から一つを選ぶ事は、とても深い意味があると思います。

例えば水平垂直を基調とした造形を、そのツールしか使えない若いデザイナーが描くのと、様々な造形ができる鍛錬されきった人が描くのとはパッと見同じに見えても圧倒的に後者に説得力があるわけです。それは様々な色彩を鍛錬してきたカラーコーディネータが白や黒を選んだり、ファッションスタイリストがコンテンポラリーな物ではなくトラディショナルなスタイルを選んだりする事と近いわけです。経験値による直観や判断に勝る物はないのかも知れません。

その「あえて~する」には、選択する勇気と自信が無ければできないだろうと思います。そして選択肢が多くなればなるほどその選択には精度が伴うと言う事。3Dの時代が到来して久しいですが、今あえてジオメトリカルな造形にチャレンジしている物を見ると、強く説得されてしまうわけです。

本来3Dには、2Dにはできない造形を数値化するという大義がありました。それが当たり前になった今、2Dにしかできない哲学を再発掘する事に新しい進化があるように思うわけです。図学やプロポーションやバランス、そしてモジュール。バウハウス以後にしっかりと積み重ねられた造形手法のノウハウに3Dという概念が加わらなければ3Dは浮いてしまったテクノロジーになるのではとも思います。

それは2.5Dもしくは4Dなのかも知れませんね。

その回帰的手法、三歩進んで二歩戻るような進め方。そこに違う道筋が見えかかる事もあるかなと。そして闇雲にぐにゃぐにゃさせる事は時にステレオタイプだなと思う事も。それは美しさを求めた結果かも知れませんが。選択するセンスと言うのも今後は重要になるのかなぁと思います。

話しがオーガニックに変容してきたのでここらで閉めますが、何が言いたいかと言うと形に迷いがあるうちはまだまだ修行が必要だなと思うわけです。

付け足しですが、絵を描く事はその周りの事象を描く事かも知れません。3Dもそのディテールを見るのではなくそれが置かれた風景を一部を描くように作りこまなければならない。
# by kairi-eguchi | 2013-07-15 11:11 | デザイン


大阪在住のプロダクトデザイナー江口海里が見た文化都市「オオサカ」、「ニッポン」そして「デザイン」


by kairi-eguchi

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